地球サイズ計算尺
前回紹介した日経サイエンス8月号には、計算尺の記事以外にも面白い記事が多数掲載されています。今回はその中から一つ興味のあった記述を、無理やり計算尺の話題につなげてみたいと思います。
同誌の記事「茂木健一郎と愉しむ科学のクオリア 4」では、高エネルギー加速器研究機構教授、山内正則氏と茂木健一郎氏との対談で、加速器実験の話題が取り上げられています。この記事の中でちょっと興味のあった記述を要約して並べると、
- 超ひも理論の実証には1019GeV程度必要。
- 現在建設中の世界最大の加速器のエネルギーレベルは104GeV。
- 技術革新が無ければ、加速器の半径とエネルギーの関係は比例する。
- 理論上、地球上で最大の加速器は地球の赤道程度の大きさが限界。
- それでも達成できるエネルギーレベルは3桁アップに過ぎない。
となります。この後半の部分が、計算尺の長さと精度との関係に似ているように思えました。
計算尺の精度はその長さに比例し、長さが2倍になると精度も2倍になります。ここで勘違いしないで欲しいのは、精度が2倍になるというのは有効桁数が2倍になるという意味ではありません。精度が10倍になるとようやく有効桁数は1桁増えます。
先の記事では地球の赤道程度の加速器について触れられていましたので、こちらも地球の赤道程度の計算尺について検討してみましょう。計算尺の形状は、地球をぐるっと一周するリング状の円形尺として考えて見ます。
地球の円周は、子午線に沿って南北方向に測った場合4万kmです。赤道に沿っての場合はこれより少し長いのですがここでは4万kmで計算します。一般的な10インチ尺の長さは250mmですから、4万km÷250mm=1.6×108 となり、この計算尺は10インチ尺より8桁程有効桁数が多いことになります。10インチ尺の有効桁数は、3桁から左基線近くで4桁ですから、この計算尺の有効桁数は11桁から12桁だろうと計算できます。
手近な関数電卓(HP32SII)の有効桁数を見てみると12桁でしたから、関数電卓をポケットに入れて持ち歩くということは、地球サイズの計算尺をポケットに入れているということになるのでしょうか。


Comments